• テキストサイズ

【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】

第13章 Beyond the Broken Line


──あの頃。





仁美 が黒尾と別れても、自分からは離れないと信じていた。

黒尾との関係が壊れても、仁美は研磨のところには来る。

そんな確信めいた感覚さえ持っていた。





だけど現実は違った。






仁美 が選んだのは、研磨との別れでもあった。

静かに距離を置いて、そのまま本当に離れてしまった。

研磨はその時、痛いほど悟った。






──自分だけでは足りなかった。






仁美を側に置いておくには、自分では埋められない部分がある。

その欠落を埋めていたのは、間違いなく黒尾だった。





黒尾がいて、三人だったから仁美は自分のそばに自然といてくれた。






一人でリビングの段ボールを潰しながら、研磨は小さく息を吐く。

そしてぽつりと呟いた。





「……クロ、ちゃんとしてよね。」





その言葉には三年分の焦れと執着と、わずかな祈りが滲んでいた。





仁美が戻ってくる未来のために。

三人でなければ繋がらない縁をもう一度紡ぐために。






研磨はゆっくりと段ボールを重ね、立ち上がった。
/ 307ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp