【ハイキュー!!】矢印の先に、俺(私)はいない【R指定】
第6章 No One’s Yours
(……やっぱり、カッコいい……。)
苦しいほどの高鳴りと、胸の奥のざらつき。
頭の中で今日のことが、断片的に蘇る。
あの倉庫。
彼の腕。
息が触れた距離。
続けざまに、画面にもう一件の通知が届いた。
差出人は–––研磨。
黒尾と研磨と仁美の三人で作られたグループメッセージだった。
《明日、うち来るよね?》
いつもと変わらない、淡々とした文面。
だけど、その短い一文が、胸の奥を静かに締めつけた。
仁美は、スマホを持つ手をぎゅっと握りしめる。
目を閉じると、黒尾のキスと、強く抱き寄せられた感覚が甦る。
喉の奥が熱くなる。
頬がじんわりと赤く染まっていくのが自分でもわかった。
(……あんなこと、もう嫌だ……“あの人”がクロの中にいる限り……。)
だけど––––。
彼の唇の熱も、腕の力強さも、確かに仁美の心を震わせたのも事実だった。
(……もう、研磨にはクロのこと、簡単には話せない……。)
仁美は研磨の自分への気持ちを考える。