第7章 メイドカフェ ※
最近鈴が冷たい。
というか任務(バイト)で放課後も一緒に過ごす時間がない。
さっきもバイトなのごめんね、と手を合わせると急いで駅に向かって行った。
真面目で責任感が強いのは彼女のいい所だが、どこでバイトしてるかぐらい話してくれてもいいのに。
ぼーっと歩いていると、目の前に長槍を突き付けられた。真希だ。後ろに狗巻もいて、「昆布」と手を挙げた。
「相変わらず辛気臭い顔だな。暇なら自主トレ付き合えよ」
「暇じゃないですよ…」
「暇だろ、鈴いねぇから。それにしてもアイツにあんなバイトさせていいのか?」
「あんなバイト?」
「何だ知らねぇの?ほら、メイドカフェだよ。さっきバカが…」
真希は伏黒に向けてスマホをかざした。メイド服をきて恥ずかしそうにした鈴が写っている。
(は……!?)
「ツナツナ」
真希のは全身だが、狗巻のスマホには上目遣いで困り顔のアップが写っていた。襟元まできっちりボタンは閉まっているが豊かな胸元が強調され、こんなの虎杖がよく見てる雑誌のグラビアみたいだ。
「おかかー!!」
思わず狗巻のスマホを手に持ち握りつぶした。狗巻の悲鳴がこだまして、伏黒の手からはパラパラと金属片が地面にこぼれ落ちる。
「うわ、サイアク…」
真希は青い顔した狗巻に心底同情した視線を向けた。
「…すみません、後で弁償するんで。写真のデータは残せませんが」
(マジかよ…!)