第6章 英雄
[大丈夫か?さん]
くるりと振り返り手を差し伸べられる
(あ……)
恥ずかしい事なのだが咄嗟の出来事に尻もちをついてしまったらしく立てそうにない
ここは
[…は…はい…ありがと…ございます…!]
甘えさせてもらおう
柊さんにはいつも申し訳ないけど
彼の手を掴みゆっくりと立ち上がる
[…ならいい]
[怪我してんなら下がってろ…!ったく…]
[勝手言ってんな!俺の相手だ!]
桜さんは反論するも
[じっとしとけやボケ!ヨロヨロ動かれっと]
[守りきれねぇ!!!]
そう説教しつつ敵を倒す柊さん
一方その桜さんはというものの
(……………あ…)
理解できない ありえない 訳が分からない
混乱とした表情をして頭の整理がついていない様子に見える
何を言ってるんだと
[なんなんだ…]
[何が…どうなっている…]
それはそうだ
聞いていた話と全く違うことをしているのだから
けれど
[ちょっと前までギャングやらの喧嘩や抗争で街の治安は最悪だったって言ったわよね…]
[正確には2年前…そのときから街は変わったの]
[変えたのは風鈴高校の生徒たち]
[彼らははじめに街の入り口に看板を立てた…]
[それはもともと風鈴高校の名のもとに書かれていたけどいつの間にか街の人達が彼らに名前をつけたの…]
[防風"鈴" ウィンドブレーカーと………]