第1章 まさかの出会い
「……最悪。」
社畜を極めた私は終電を逃した。息を切らせて走ったものの無情に目の前で電車は発車したのだ。
こんなのはほとんど毎日。なのだけれど、今日は更に最悪なことが起きたのだ。
終電を逃したといっても、この駅から最寄りの駅までは2駅。
ここは田舎とは違い都会のため、2駅分は歩ける距離だ。
よかった、上京してきて。
わたしが住んでいたのは電車が1日10本も通らないほどの田舎。1駅ですら徒歩も厳しいほどだ。
そんな私が遥々上京してきたのは就職のためだ。
新卒採用で働き始めた会社はブラック企業。残業は月に100時間いかないくらい。
毎日とても疲弊している。
そんな私にも彼氏がいる。同い年で、今はアルバイトをしながら正社員目指して就活中だ。
本当は今日会う予定だったんだけど、安定の残業でキャンセルになってしまった。
「はぁ...…」
もう何週間も会えてないや。さすがに寂しいな。
そう考えながらトボトボ歩いていると、目の前の通りを見知った人物が横切った。そう、私の彼氏のタツヤだ。
「っ!タツヤ……」
わたしは彼を追いかけようとするも角を曲がったところで足を止めてしまった。