第3章 優しさに触れ【沖田総悟】
結局、私はそのあと親にねばりにねばって交渉し、猫ちゃんを保護できることになった。
その後、その猫の名前は『蒼(あお)』という名前をつけ、蒼はすくすくと成長していった。
ある日、わたしは蒼をだっこしながら町を歩いていた。
「ほら、ここだよ、蒼がずっと鳴いてたの。」
最初に蒼をみつけた場所で立ち止まった。
蒼は覚えているのかいないのか私に向かってにゃーっと鳴いた。
「カラスに狙われて大変だったんだから。」
でも、無事に蒼を保護できてよかった。
もし、あの時親に反対されてたら……と思うと怖い。
そういえば……
「あれ以来、沖田さんに会えてないな……」
できればお礼をもう一度つたえたい。それと、無事に保護できたことや、名前が決まったこととか話したいことがたくさんある。
「俺の名前呼んだかィ」
背後から会いたかった主の声が聞こえた。
「わ、沖田さん……!!」
沖田さんは私に軽く微笑むと、巡回中だったのか他の隊士さんたちに「先にいけ」と指示する。
「お久しぶりです、その節はどうもありがとうございました」
「別にいいでさァ。お、その猫は…」
「はい、あの後無事に保護できたので。今はうちの子です。」
蒼も沖田さんのことを覚えていたのか私の腕から離れて沖田さんに飛びつく。
「っわ、っと……なんだお前、俺の事覚えていたのかィ」