第53章 十二月の夜〜冨岡義勇【微R】
「義勇さん…あのゆずって子は、どこに行ったんですか?」
「鬼がまだ出ていない里の常駐警備に配属になった。」
「一緒に、ゆずと仲良く稽古してた隊士の子が元気なくて…ゆずって子も大丈夫かな?」
義勇は、ゆきの側に来てゆきの顔を見た。
「お前は、ゆずの嘘であの隠に誤解され大変な目に合うかもしれなかったんだぞ。もう気にするな。」
申し訳なさそうな顔を何でお前がするんだ…。お前は、悪くないだろう?
ゆきの人を思うこういう所が、俺は好きなんだ…。
「お腹は、空かないのか?食事に来ないから心配していた。」
「あっ…何だかお腹が減らなくて…」
答えるゆきの口元をどうも見てしまう…あの夜の事がずっと忘れられない…
「義勇さん?」
義勇は、ハッとしてゆきの顔を見た。
「…?」
義勇は、赤くなって後ろを向いた…。
は、恥ずかしい…俺は何を考えているんだ…。今考える事では無いだろう。
でも…あの夜の出来事を思い出してしまう…。
「義勇さん?具合でも悪いですか?」
「い、いや何でもな…」
義勇が、慌てて振り返った…そこには、すぐゆきの顔があって…もっと胸が高鳴った。
義勇の手が勝手に伸びていた。ゆきの頭を支えて顔を近づけた。
ゆきは、急な事に驚きとっさに口を手で覆った。
義勇の唇は、ゆきの唇には触れることなくゆきの手の甲に触れた…。
「す、すまない」
義勇は、慌ててゆきから背を向けた。
ゆきも、いきなりの事で驚いた。
義勇さん…この前の夜私達あんな事しちゃったから…
義勇さんの事を、私は受け入れたと思われているよね?
どうしよう…
「ぎ、義勇さんあの…」
義勇は、振り返ってゆきの方に歩いてきた。そしてぎゅっと抱きしめた。
「義勇さん!?」
「昨日時透の所にお前が行ってしまい寂しかった」
義勇は、なおもきつくゆきを抱きしめた。
「俺のものになってくれたのではないのか?」
「あの…あの時は、義勇さんから聞いた話に驚き自暴自棄になってしまい…あんな事を…」
「時透と凛の関係を知っても時透がいいのか?」