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【鬼滅の刃】彩りの恋(R18)短編集

第4章 薄紅色の恋(冨岡義勇)



「お前の顔を屋敷で見た時…まさかという信じられない気持ちと、無事だったのかという安堵感とが混ざって…言いようのない感情になった。だから…」


水柱様は再び目線を庭に移された。

「お前が雫である事を思い出せなくても、雫だとわかっただけで十分だ。
…先生も安心しただろう。」


先生…と水柱様が呼んでいるのは、元水柱である、鱗滝様だと聞いたことがある。

「…お前の両親には随分強引な事をした。
お前にも…知らなくて良い事を知らせる事になった。
すまない…」

頭を下げる水柱様に動揺する。


『お顔をっ…上げてください、水柱様。
両親の事は驚きましたが…感謝する気持ちは変わりませんし、血が繋がっていなくても嫌いになんてなれません…
だから…せめて…』


水柱様の方を見ると、握り拳に力が入った。

『…教えていただきたいです。
私が、雫という人間として、水柱様とどのように過ごしていたのか…誰とどんな事をして、私は普段どんな風に話していたのか…知りたいです。』

「…いいのか?」

『はい。水柱様のお手を煩わせることにならなければ…』


水柱様は驚かれながらも、少しずつ、お話をしてくださった。


鱗滝様のこと。


錆兎という少年のこと。


好きだった花、食べ物、よくした遊び。


訓練の事、怪我をした事、取っ組み合いのケンカした事…



時間はあっという間に過ぎていった。

頷きながら、微笑みながら話を聞き終えると、自分でも驚くような気持ちになっていた。


『水柱様、よろしければ…今度の非番の日、狭霧山に行ってみてもよろしいですか?』

「狭霧山にか…?」

『はい…知りたいんです。自分の事を。思い出せるなら思い出したい。だって狭霧山にいた私も、私の一部なので…鱗滝様にも、育てていただいたお礼をきちんと自分の口から、お伝えしたいです。』

理由はもう一つあった。



水柱様がご自分を責めるのをもう見たくない。



私が記憶を取り戻せたら、水柱様のお気持ちも少しは軽くなるのではないか…
そんな風に思えた。
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