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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第3章 積極





漸く会えた、冨岡さんに…。



ずっと、助けてくれたお礼を伝えたかったのに
この時代に来て2ヶ月経っても会えなかった。



今日来てくれたのは
たまたま蝶屋敷に来る用があったかららしいけど…



せっかくこうしてわざわざ足を運んで来てくれたし
命を救ってくれたお礼も兼ねて…






『精一杯、おもてなしする…!!』





屋敷の通路を歩いている私は
美味しい緑茶と、胡蝶さんが買ってきてくれた和菓子が乗せられたお皿をお盆に載せて運んでいる。



喜んでくれるかどうかは分からないけど
今私がお礼としてできるのは、冨岡さんをおもてなしすること。




お茶の間に近づくにつれて
少しずつ緊張してくるけど、ゆっくり深呼吸をして
治ったところで部屋の前に着いた。





『すみません、お待たせしました。』

「…あぁ。」




部屋の中にいた冨岡さんは
畳の上で綺麗な正座をした状態のまま待っていて
私が部屋に入ると、綺麗な真っ青の瞳を私に向けた。




…、うん、やっぱりこの人の目、すごく綺麗。



山で鬼に襲われて、死ぬかと思った時に見た、あの目と同じだ。




お盆を抱えて、ジーッと立ったまま冨岡さんを見つめていると、冨岡さんも言葉を発しないまま見つめ返してきて…


ハッと我に返った私は
恥ずかしさを感じながら、慌てて冨岡さんの向かいに移動し、畳の上に座った。





『あの、これ…。
胡蝶さんが和菓子を買ってきてくれたので
良かったら召し上がって下さい。』

「あぁ…。薬を受け取り来ただけだが
わざわざ茶まで用意してもらって…すまない。」


『いえいえ。
ここのお店のお饅頭、甘さが絶妙で
すっごく美味しいんですよ?』


「そうか…。」





…その後しばらくの間、お互いに何も話さず静かな状態で
私と冨岡さんには沈黙が流れた。


お饅頭を咀嚼している僅かな音と
お茶を静かに啜る音だけが部屋の中に響いた。




そういえば私…


男の人と2人で、こうやってお茶をするのは初めてかも…。



意識すると、何だか恥ずかしくなってきて
静かな状態も居た堪れなくなり、私はお茶を飲んだ後
冨岡さんに声をかけた。







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