第15章 潔白
し「来て頂いてありがとうございます。
今からいくつか質問をしますので
正直に答えて下さい。…いいですね?」
「っ、は、はい…。」「分かってます…。」
しのぶちゃんに笑顔を向けられた2人の隊士は
顔を少し怯ませていたから…
きっとしのぶちゃんから
何か恐怖を与えられたんだろうな…
やっぱり柱としてのしのぶちゃんは少し怖い…。
し「では、お尋ねします。
あなた方お二人は、こちらの隊士を負傷させたのが
さんだと証言したそうですが…
今も、そう思っていますか?」
「…。いえ、違います…」
「俺達…嘘をつきました…。」
「!?おい!!お前らやめろ!!」
し「静かにしてくれませんか?
今はお二人が話しているところなので。」
「っ、蟲柱…、あなた…こいつらに何を…!」
し「…さぁ?私は何もしていませんよ?
それより話の続きをしましょう。」
しのぶちゃんが笑っている様子を
驚きと怒りを含んだ表情で睨んでいる隊士だけど…
しのぶちゃんはそんな彼を気にも止めず
ただニコニコと笑って、2人の隊士に目を向けた。
し「先程お二人は、嘘をついたと仰いましたが
それはどのような嘘ですか?」
「さんは…
コイツを怪我させたりなんか…していません…」
「むしろ…命を救ってあげてました。
手を骨折したのは…、鬼から逃れた際
地面に着地した時に捻ったからだと思います…。」
「っ、ち、違ぇよ!!
俺はこの女に負傷させられたんだ!!
お前らも俺が手を叩かれたの見てただろ!?」
「確かに見てたけどさ…、
お前、その後普通に両手で刀握り締めてたじゃん。」
「そうだよ…。痛がってる様子無かったし
さんの静止も聞かずに
1人で鬼に向かって行っただろ…。」
「っ、お前ら…!!」
真実を話してくれる2人に対して
手をギリギリと強く握り締めながら睨むその隊士は、相当怒っている様子が見受けられた。