第15章 潔白
し「…まぁ、最後まで謝罪を受ける事を覚えていられたら…いいんですけどね?」
『っ、し、しのぶちゃん…?』
「おい!何をコソコソと話してるんだ!!」
し「いえ、何でもありませんよ?
では次に…、息子さんが怪我をされた件についてお話ししましょうか。」
…噂話の件をこの親子に伝えても
反省してる様子が全く見られなかった。
でもそれは別にいい…
噂は私だけに関する事だったから
謝られなくても気にしない。
怪我の件については
辛い思いをした人が私の他にもいる…
この人達がもう2度と誰も苦しめない様になって欲しい…、私はそう思いながら、しのぶちゃんの話に耳を傾けた。
し「あなたが手を負傷されたのは
さんに手を叩かれたから、と…
そう仰っていましたよね?」
「…はい、そうです。」
し「さんにもその時の状況を聞きましたが、彼女はあなたが鬼から逃れた際、地面に手をついた事で負傷されたと仰っていましたが…」
「…そんなの、嘘に決まってるじゃないですか。
その場にいた他の隊士からも聞いたんですよね?」
し「…えぇ、そうですね。」
「だったら俺を疑わないでもらえます?
ちゃんとした証言が出てるんだから
その人が俺に怪我させたっていうのが事実なんですよ。」
自信満々に言い放った隊士だけど
このまましのぶちゃんが折れるとは思えなくて…
何かを企んでいるような様子のしのぶちゃんを見つめていると、彼女は襖の扉に視線を向けていた。
し「…でしたら、
こちらも証人を呼ばせてもらいますね?
どうぞ〜、入ってきて下さい?」
『…?っ、え……っ』
「!!お、お前ら……何でここに…!?」
…現れたのは
先日一緒に任務で同行した隊士2人。
彼等と顔を合わせるのは
任務の時に山の麓で解散した以来で…
私が怪我をさせた、と証言した2人と同一人物だけど、今回は私の無実を晴らすための証人として呼ばれたらしい。