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《冨岡夢》恋い、慕う[鬼滅の刃]

第1章 現代







…母が死んでから、
日はあっという間に過ぎて行った。




私はもちろん、母の娘ということもあり
警察に行って事情聴取をしたと思うけど
何を聞かれて、何を話したのか、全く覚えていない。



通夜や葬式も、瞬く間に終わったように感じた。



喪主をしてくれたのは、母の姉で、私の叔母。



でも、叔母は母のことを
あまり好いていなかったようで…

葬式の手配などは全てやってくれたけど
とても面倒くさそうに顔を歪ませていたのを見たし、私は叔母から何度も嫌味を言われた。



確かに母は、働きもせず
お酒に入り浸っていたから、親族から嫌われていても納得できる。


私自身も、母から離れたいと何度も願っていた。



必死で働いて稼いだお金はほとんど盗られるし
ロクな男と付き合わないし…


側から見れば、母が死んだことで
私は自由になれる……自由になれた…


自分でもそう思うのに
心にはポッカリと穴が空いたみたいで
虚しさしか感じなかった。



ちなみに、母を殺したのは
思っていた通り、お金をせびりにきていたあの男だった。


やっぱりあの男は、薬物依存症だったようで
母を殺したのは、薬物の過剰摂取が原因で
精神崩壊を起こしたから…というのが
警察の見解らしい。



犯人の男はあの日ー…



母を殺した後、凶器である包丁を持ったまま
近所を彷徨いていたようで
衣服にも血が付いていたから、通行人に通報され…


駆けつけた警察官から逃れようと
車道に飛び出したようで、走ってきた車に轢かれてすでに死亡したとのこと。



この事件は、被疑者死亡のまま送検されたと
様々なニュース番組で報道され
ネットニュースにも取り上げられていた。




でも、そんな大ニュースになっているのに
私には現実感がまるで無かった。


母が死んだあの日から
時間がずっと止まっているような感覚で…


何も感じないまま、母の遺品整理も黙々と終え
気がつくと事件の日から、すでに1週間も経っていた。





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