第13章 彩の視線と牽制
♢ Side 彩 ♢
恐らく付き合ってるのかもしれない…
その結論に至ったのは直接話してみてわかった事。だけど、今まで聞いていたような女性じゃないってのもすぐに解った。
ドライバーの事に関してはチームが違ってもやっぱり取るべき距離感は知ってるようで…
だけど、それだけ。きっと彼女は加賀さんの本名…加賀城太郎って名前すらも知らないんだと実感した。途中からなくなった余裕…それが手に取る様に分かった。
付き合ってないのかも?なんて事すら考えちゃうほどの言葉の端々だった。でも…あの加賀さんの表情や行動からしたら彼女かもしれないって…
告白前に失恋決定かと思ったけど、彼女のあの様子ならまだまだ私もうつ所はまだまだあるってことだってそう感じた。
『加賀さんの事振り回さないでくれませんか?』
どこかで私も焦ってたのかもしれない。でもその時に即答で変事が返ってこなかった。加賀さんの彼女なら何かしら返答が即答であると思ったから、その返答が戻ってこなかったのは意外というか、彼女なんだけどどこか距離があるみたいな…そんな感じがした。
「…クスクス…まだ入り込める…」
そうだ、私は私の仕事をある意味利用して近づいたらいいんだ。真坂さんは、スゴウだから。入り込むにも限界がある。大きな差がある。
だったらちょうどいい。
私には私のやり方で…加賀さんの傍に入れたらそれで十分。
真坂さんには申し訳ないけれど、恋には、恋愛には申し訳ないなんて思ってたら気かけなんかすぐに遠のいてしまうから。
「加賀さんの隣は…譲れない…譲りたくないんだ…」
カメラに収めた加賀さんの写真を見ながら私は温かくなる心に全力で同意をした…
・