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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第9章 苦しくなる心とぶつかる本音


『…どっちにしても次の宿泊場所決まったらまた連絡するよ、その時に返事聞かせて?』
「…ん、解った…」

そうして通話は切れた。

「…遠慮…か…」

そうでも無いし、誰に遠慮なんて言うのも無いと思っていた。それでも自分に自信がない…それだけだと思っていた雅にミキは『遠慮』という言葉を放ったのだった。

「…なんだろうな…この感じ…」

そんな事も無い!と即答も出来なかった。だからと言って、違和感も感じなかった…
ただ、どこか不安でもやもやとした気持ちに名前が付いたと思った雅。

「…言い訳…してたのかな…」

そう呟く声はかすれ、加賀とのやり取りのメッセージを見つめていた。

思い出すのは昨夜感じた背中の温度と、怖くなかったスピード感…それに加えてぐっと引かれた腕と、初めから用意されていたメット…

「都合よく考えちゃダメ…もう…傷つきたくないんでしょ…自分…」

そう言い聞かせる様に雅はきゅっと目を閉じてベッドに突っ伏していく。しかし思い出すのは加賀の体温と、近づいた距離…それだけだった。

「もうこれ以上には…無理だと思う…どうしていいか私…わかんなくなるよ…」

もうわかっているのか、それに目をそらしているだけなのか…

見ないふりを続ける、心にブレーキをかける事すらしんどいと感じる様になってきていた雅の心は、すでに加賀にしか向かず、他の人へ向くことは一切なかった。
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