• テキストサイズ

Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第2章 思い出す記憶


「同じチームメンバーに対しても、他のチームメンバーに対しても、私は恋をするなとは言わないわ?むしろモチベーションあがるからウェルカム!って言いたいくらい。」

どことなく高校生の恋バナを思わせるようなノリになってきたクレア。しかしどことなく落ち込む様にも見えてきた雅を見てクレアはフッと息を吐いた。

「…でも、迷ってるんでしょう?」
「え?」
「見ていれば解るわ?少なくとも私は。」
「……クレアさん…」
「でも今はあなたはスゴウグランプリのスタッフよ?それだけは忘れないでね?」

そう言い残してクレアはその場を離れていった。ガレージの扉の外で修がたっているのに出くわしたクレアは小さく笑うと『聞かなかったことにして頂戴ね?』と人差し指を唇に寄せた。

「…にしても、AOIにまた一人持っていかれるのか…」
「まだそうと決まったわけじゃないわよ?」
「…そうかもしれないが…」
「それに、色恋沙汰を持ち込むなとは私たちには言えなくてよ?修さん」
「……ッッ」

ふわりと笑うクレアに何も言えなくなってしまった修。その場を二人は一旦離れた後にも雅はガーランドの前から動けなかった。
横に掲げられたAOIZIPのロゴを見るだけで胸がきゅぅっと締め付けられていく。昨日確かに右側に感じていたかすかな香りがまだ記憶に残っている。あれほど近くに見た横顔…それが脳裏をかすめる度に自身の心が少し、また少しと加賀に惹かれていくのが解った。

「…だめ、今日は決勝なんだから…」

そう言い聞かせる様にして雅も掃除を始めるのだった。
/ 292ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp