第8章 会いたい気持ち
翌日…晴れ渡る空の中、諸々のガレージからエンジン音がけたたましく響きだす。ざわざわと煩いほどの喧騒と、眩しいばかりのフラッシュ…そしてコースに並ぶマシン…ゆっくりと下時間が流れるのはほんの一時だけ…
「…アンリ」
「何?」
「気を付けてね」
「何言ってんの…」
「ううん…なんとなく…」
「解ってるよ」
「ん」
そうして時間も過ぎ、決勝がスタートになる。オープニングラップを過ぎ、各自スタートラインにつく。エンジン音が腹に響く感覚はいつまでたっても雅は緊張していた。
ブルーランプが点灯した途端にアクセル全開で飛び出した。幸いにもハヤトの後ろに着いて行く形でアンリも着いて行く。
「やった!!」
そう、スタートダッシュでスゴウが1、2を取ったのだ。
「このまま進んでくれたらいいんだが…」
「そうですね…」
どうにも不安が残るのは気のせいかと思いながらも雅はじっとモニターに映るガーランドを追っていく。
途中でランドルにぬかされたものの、じっくりと追い込んでいくアンリ。ハヤトは逃げ切る事しか頭にない。
「…アンリ…」
そんな時だ。バンパーに乗り上げたランドルがハンドル操作をミスしてコースアウト…サンドバックにとられたその隙にアンリが追い抜いていく。
「…ッッ」
すぐに立て直すランドルだったものの、結果は6位と振るわなかった。ハヤトが1位、アンリが2位と望んだとおりの成績となる。
「…ありがとう、アンリ」
「別に…」
「素直になれって!!」
メンバーからも頭をクシャりと撫でられていた。
「お疲れ様、アンリ」
「ん、」
そうして表彰台へと向かっていくのだった。