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Winner【サイバーフォーミュラ・加賀】

第5章 事故、そして…


「私…加賀さんに…好きって…」
「いったのか?」
「ん…」
「それで?」
「……俺なんか…やめておけって…ヒック…」
「…へ?」
「走ることでしか…自分見いだせないからって…」
「…あー…加賀らしいっていえばらしいんだけど…そっか…」

はっきりと断られたわけでもない…そう、好きでいるのが迷惑ではないと言われた。でもそれはもしかしたら加賀なりのやさしさ故なのではないだろうか…そう雅は考えていたのだ。

「…んー…そっか…」
「それで…出てきちゃって…」
「なるほど…」
「やっぱり…ダメだった…」
「まだだめって決まってないだろ!その答えじゃ」
「…だって…加賀さんの周りは…今日子さんだったり…素敵な人ばっかりで…私…加賀さんの前で失態ばっかり…」
「それでも…」
「もう…大丈夫…ごめんね?ミキさん…」
「雅…」
「今日子さんにも…会ったらいいって言ってもらえたのに…それなのに…レース出れなくて…悔しい気持ちの所に好きだなんて…迷惑だった…最低だ…私…」

寂しさよりも悔しさと、ただどうしたらいいのかわからない気持ちだけが渦巻くように雅の心をむしばんでいく。自分で蒔いた種…それは雅自身も十分解っていた。

「…もう…帰るよ…」
「ん…そっか…」
「ミキさんも…加賀さんの所に行ってあげて?」
「でも…」
「私なら大丈夫!タクシーでホテルに向かうし…それに明日からテスト始まるし…」

無理に笑顔を作り出しながらも雅は目を擦って立ち上がった。

「…でも…教えてくれてありがとう…ミキさん」
「気を付けなよ!?」
「ん」

そうして雅はタクシーを捕まえてホテルに戻るのだった。
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