第21章 誤魔化し
悠仁も1歩も引かず、睨み返す。
悠「関係ないでしょ。俺、話してただけですから。……てか甚爾さん?こそ、なんでここに。」
甚「は?」
鼻で笑った甚爾は女の腕を掴み、引き寄せる。
その動きはまるで“所有物”を取り返すようで、女は無意識に身体を預けてしまう。
甚「コイツは俺の女だ。……その身体、俺が毎晩どう抱いてるか、知ってるか?」
悠「っ……!」
悠仁の表情が歪む。
怒り、嫉妬、戸惑い。
女は何かを言おうとしたが、甚爾がそれを許さなかった。
甚「黙っとけ。オマエは、誰にも渡さねぇって、あの夜言ったよな?」
耳元で囁かれた声に、肌が粟立つ。
ホテルの入り口の灯りが、3人の影を長く伸ばしている。
甚「俺と来い。……一緒に、入るぞ。」
「ま、待って、甚爾……っ。」
否応なく腕を引かれ、女はそのまま入口へと連れ込まれる。
重たいホテルの扉が閉まる音が、密やかな緊張を帯びた空間に響く。
ベッドの上に投げ出されるように座らされ、ミクは目の前に立つ2人の男に囲まれていた。
悠仁の瞳はいつもより熱を帯び、微かに頬を紅潮させている。
一方、伏黒甚爾は煙草の匂いを纏わせたまま無言でシャツのボタンを外していた。
悠「……ほんとに、良いのか?」
先に声を発したのは悠仁。
ミクの目をまっすぐに見つめ、どこか戸惑いを含んだ眼差しだった。
甚「やめたいなら、今言え。」
甚爾はそう言いながら、腰にかけたベルトを緩めて音を鳴らす。
その音が、ミクの心臓の鼓動と重なるように響いた。
けれど、ミクは頷いた。
熱に浮かされるような気だるさと、背中を這い上がる快楽の予感に逆らえなかった。
すぐにシャツが脱がされ、スカートが捲り上げられる。
左右から触れられる感覚はあまりにも異なっていた。
悠仁は手のひらで優しく撫でるように、確かめるように胸を包み込む。
対して甚爾は躊躇いもなく首筋に唇を押し当て、荒々しく吸い跡を刻みつけた。