第2章 輝石の額当て
「お願いします…。どうか今だけでも側に居て下さい…。」
仁美は必死に手を伸ばして、天元の首に腕を巻き付けた。
なり振りなんて考えられずに、必死に天元に縋った。
天元は仁美の腕を振り払うと、そのまま布団の上に押し付けた。
仁美の指を自分の指と絡めて強く握った。
「泣くなら、派手に泣いてみろ。」
天元はそう言うとゆっくりと顔を近付けて、仁美の唇に口付けをした。
口の中の傷が痺れる位に、天元の舌が口内で絡み合った。
同じ様に天元の舌も仁美が付けた傷から少し血の味がした。
「はっ……んっ…。」
力強く押し付けられている割にはその口付けは優しかった。
天元の手が仁美の手から離れると、仁美の帯に移動した。
片手で器用に帯紐を外して帯びを解いていく。
彼が帯びを解きやすい様に、仁美は上半身を浮かせて再び天元の首元に腕を巻き付けた。
帯びを解けば、着物がはだけるのは早かった。
仁美は必死に天元に抱き付いて、彼に口付けを繰り返す。