第7章 鬼の宴
猗窩座とまぐわう事になった時には、童磨の時の様な拒絶感は無かった。
その頃には無惨も仁美に会いにきてくれる様になった。
鬼に抱かれても泣かなくなった仁美に彼はとても満足していた。
無惨と過ごす時は他の鬼は近寄らななった。
彼は仁美に触れはするけど、抱く事は無かった。
だけど仁美は彼の腕に抱かれて一晩中会話をすれば、それだけで幸せを感じる様になった。
自分の不満も泣き言も言わなくなったら、無惨との時間も穏やかに過ごせた。
仁美はそれが幸せだと感じるようになった。
その時には鬼が人間を食べると言う事実には、また心の奥底に沈める事が出来た。
無惨は仁美に対して愛を仄めかす言葉すら与えた。
「お前は私の初めての花嫁だ。」
「…初めてですか?」
仁美はたったそれだけの言葉で笑みを浮かべる。
仁美の笑顔を見て、無惨は優しく微笑んだ。
そう演じていたからかもしれないし。
これが本当に彼の気持ちかもしれない。
仁美にとって、彼の本質はそんなに重要では無かった。
彼が自分を見て微笑む。
それだけが仁美には必要だった。