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メンヘラヤンデレ彼氏からの溺愛調教

第9章 誕生日




ガキの頃、当たり前のように腹減りすぎた期間が長かったせいか空腹を感じることがなくなった。
空腹なんて感じるから腹減るんだ。
そんなもんなけりゃ欲しがることもない。
腹に入ればなんでも同じだったから、味を感じた記憶もない。
けど。
莉央ちゃんは違う。
時間になればお腹すくし、ちゃんと味覚もある。
俺と同じにしちゃいけないんだ。


「…………ねぇまたなんか考えてる?」
「え」
「眉間、シワよってる」


莉央ちゃんの人差し指が、眉間をぐりぐりと押して。
あ。
やば。
思わず払いのけた。
いや。
だって。
莉央ちゃんに触られるとなんか、ザワザワすんだもん。


「…………大丈夫。悪気ないのはわかってる」


あ。
でもだって。
今莉央ちゃん目、そらした。
やだ。
やだ。

「…………違う」


思わず。
先に行こうとする莉央ちゃんの腕を掴んでた。


「大丈夫だよ柳瀬、傷付いたわけじゃないから。…………反省してるの」
「…………ご、ご飯」
「うん」


どーしよ。
空気、悪。
俺のせいだ。
俺のせいで。


「ほんと違うの、柳瀬。…………ごめんあたし…………。」

「俺、ごめん違くて…………」
「違う。ほんと違うの柳瀬。だってあんな顔…………っ、柳瀬が必死で我慢してんの、ぃやほんとごめん。たぶん誕生日台無しにできないとかそーゆー、いろいろ、ほんと考えてんだろーなとか、考えたら、ごめん、かわいくて…………。だって柳瀬、あんな、あんな顔真っ赤にして払いのけるとか、もうほんといやでも意識するってゆーか…………」

ごにょごにょしながら、最後の方はほとんど小声だったし。
俺のいいように解釈しちゃっただけとか、妄想かも、とか。
そんなことを思うくらいには、莉央ちゃんがやばい。

「だからほんと、柳瀬が気にするようなことは、思ってないので…………」

右手で顔を隠しながら小声で弁解する莉央ちゃんが。
莉央ちゃんの。
顔、顔、見たい。

「…………ほんと勘弁して」

右手首をとって莉央ちゃんの顔、見れば。
真っ赤で。
あ。
これ、絶対やばい。
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