第14章 ちょこっと余談(よだん)
しのぶと出会ってから…半年余りが経った……
2月24日
戸籍上で11歳となったしのぶは、二人きりとなれる場所で呼び出されていた
しのぶ(一体何なんだろう…?)
疑問に思いながらも
館から程近い離れへと向かう
それは滝から見て近くにあり、滝の裏の部屋へも繋がっている部屋であった……
その日…
しのぶと2人きりの時
明かすことになった
この世に生まれて来た目的
そして――今も尚、常時削られ続けている実情を―――
恵土「一兆五千億年生きた初代は…
百三十八億年しか記憶を有してはいない
元々無限の寿命は…残り四百数十年となっている
常時削られ、それと同時に常に回復している
99.08%…
その残った0.92%が…魂の心であり、再生を齎す源であり……
剪定という…罪を持たぬものを罪人へと変異させる癌化を、浄化する為に
死ぬはずの者を助ければ助けるだけ
どんどん歪(ひずみ)となって
体内に蓄積されてゆく
それが浄化されることはなく無く、『罪の証』として全身に残り続ける
自らの勝手で運命を弄び、改変した罪として――
あの日…
しのぶ達と出会った日…
戦いが終わってから3日昏睡し、再び生死の境を彷徨った
本来なら死ぬはずの定めを改変すること、救済すること…
それは……身代わりになることを意味し、己が身を死地へ晒すことを意味する
お前と再会した日も…3日昏睡した後のことだった
愼寿郎の妻…瑠火を助ける為に…
身代わりになって癒やし、一時的に治し、繋ぎ止めたから
ちょうどいい機能回復になっていたし、勘もすっかり取り戻せた
そして――助けられた者達もまた、長くは決して生きられない
生きることが出来たとしても…3年あるいは5年か…
それぐらいしか繋ぎ止めることは出来ない
そういう類のもの……
最初こそ、反動は少なく、そんな事態にはならずにいた……
しかし…殺された者のあまりにもの多さに…
躊躇無く、迷い無く行われるそれに伴い……
反動は重さを増してゆき、ついに決壊しようとしているのを強く感じる………
…これが…私が、この世に生まれてきた全てだ
癌の脅威から、癌化による世界の消滅から…
罪人化から…皆を守る為に、生贄になりに来た
永久(とこしえ)の世とする為……
勿論、初代も助ける
死んで欲しくないから…」
