【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第8章 「アシンメトリー・ナノ・ループ・ビーズ**」
「楽しかったね、今日」
そう言って笑った先生の横顔を見上げて、また頬が緩みそうになる。
買い物をして、限定タルトを食べて、映画を見て。
その帰りに、こうして先生と手を繋いで夜道を歩いている。
こんなふうに、ちゃんとデートらしいデートをするのは、びっくりするくらい久しぶりだった。
「家で映画見るのもいいですけど、やっぱり映画館で見るのは別物ですね」
「だねー。スクリーン大きいし、迫力あるし。……それに、暗い中でがいちいちビクッて驚いてるの、すぐ横で見るのも面白かったし」
「……も、もう。私、そんなに驚いてないです」
「ははっ、誤魔化しちゃって」
笑いながら、先生の指が私の指をゆるく握り直す。
その拍子に、反対の手に提げていた紙袋がかさりと鳴った。
「あ。持とうか、それ」
「だ、大丈夫です。これくらい持てます」
慌てて首を振って、先生の手から紙袋を遠ざける。
買ってもらった上に、さらに持ってもらうなんて。
さすがに申し訳ない。
『この前破いちゃたから。代わりの、買ってあげる』
先生にそう言われて、連れて行かれたお店で買ってもらった新しいブラウス。
この前のデートで、ボタンを弾き飛ばされてだめになってしまったものの代わり――ということらしい。
(結局、元々のものより高いの買ってもらっちゃったんだけど……)
申し訳ないような、でも嬉しいような。
今度はこれを着て、先生とデートできたらいいな。
そんなことを考えていた、その時だった。
「あ、。ちょっと寄りたいところあるんだけど、いい?」
「はい。どこですか?」
「んー。いい店見つけたんだよね」
先生の声は、やけにご機嫌だった。
もしかして、もう一軒スイーツのお店とかかな。
さっきはタルトだったから、次は和菓子とか。
それとも、先生のおすすめのお店とか。
そんなことを呑気に考えながら、先生の後をついていった。