【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第7章 「背伸びの先にある恋**」
「アイスミルクティーと、チョコレートケーキ一つお願いします」
レジで注文を済ませ、受け取り口の端で壁に寄りかかった。
(……はー、疲れた。先生じゃないけど、甘いものが食べたい)
廃ビルを、上から下まで三往復。
微弱な呪力の残穢を追って歩き回るだけの、地味な調査任務が終わった。
結局、呪霊は一匹も出なかったけれど。
常に神経を尖らせて暗闇を歩き回っていたせいで、全身にどっと疲労が押し寄せてきている。
へとへとに疲れた体は、とにかく甘くて冷たいものを欲していて、ふらりと駅前のカフェに立ち寄っていた。
待ってる間に、ポケットからスマホを取り出す。
画面を見ると、メッセージの通知が光っていた。
(あ、先生からだ。どうしたんだろ?)
画面をタップして、メッセージを開くと、
『土曜の夜、上層部との会合なくなったから僕のマンション来ない?』
そのメッセージが目に入った瞬間、心臓が大きく跳ねた。
(これって、つまり……お泊まりのお誘い、だよね)
先生と付き合い始めてから、何度か先生のマンションにはお邪魔している。
頭では分かっているはずなのに、こうして直接的なお誘いの文面を見ると、何度経験しても全く免疫がつかない。
(う、嬉しい…… )
すごく嬉しいけれど、同時にどうしようもない緊張がせり上がってくる。
指を急かせて『行きます』とだけ打って送信ボタンを押した。
すぐに既読はつかなかった。
先生もまだ仕事中なのだろう。
「お待たせいたしました、アイスミルクティーとチョコレートケーキのお客様」
店員さんの声にはっとして、慌ててスマホをポケットに突っ込んだ。
ドリンクとケーキの乗ったトレイを受け取り、近くの空いているテーブル席に腰を下ろす。
ストローから甘いミルクティーを吸い上げても、頭の中は週末のことでいっぱいだった。
(新しい下着……買っちゃおうかな)
少し浮き足立った気分で息をついた、まさにその時だった。