【呪術廻戦/五条悟R18】── 花冠の傍らで ──
第4章 「咲きて散る、時の花 後編**」
「……ん」
唇にキスを落とした。
「――っ!? ちょ、せんせ、ここ外ですって!」
びっくりして声が裏返る。
恥ずかしさに顔が火照るのを感じながら、思わずクレープで口を隠した。
先生は少しも悪びれた様子もなく、にこりと笑った。
「だって、可愛かったから」
そう言って、私の髪をひと束、指先でくるりと弄んだ。
ふと、公園の一角からざわめきがした。
ちらりと目をやると、制服の女の子たちがこちらを見て、顔を赤らめていた。
(……うそ、見られてた!? 恥ずかしい)
「もー、先生のせいですからね……!」
思わずこまかすようにクレープをかじる。
先生は静かにこちらを見つめながら、小さく呟いた。
「“に恋した夏”を、もう一度なぞってみただけ」
「え? なんか言いました?」
首を傾げると、先生はいつもの調子で笑いながら、
「んーん。何でもないよ」
そう言うと、先生の腕が私の背中にまわる。
ゆっくりと、でも迷いなく引き寄せられた。
「のことが欲しくなった」
「え、ちょ……先生……」
声がうわずる。
けれど拒めなくて、気づけば私はその胸の中にいた。
「……今日の先生、なんか変」
照れ隠しのように笑いながら、先生の胸元にそっと額を寄せた。
それに応えるように、先生の手が優しく背中を撫でる。
そのぬくもりに包まれて、私はそっと目を閉じた。
「……忘れても――」
先生が何か言っていたが、その続きは風がさらっていった。
全部は聞こえなかったけれど、
どこかで同じ言葉を聞いたことがあるような、そんな気がした。
それが夢か、現実か、わからないけど。
「……忘れても、また口説くとこから始めるだけでしょ」
──「咲きて散る、時の花」 了。