第1章 ハジマリ×ト×デアイ
「じゃあここで待っててね。」
「ここでですか?テーブルと椅子以外何も無いですけど...」
「まぁまぁ慌てずに。じゃあハンター試験合格できるのを祈っているわ。小さな受験者さん。もし落ちても来年も私が貴女を案内してあげる。」
「ありがとうございました!絶対受かりますね!」
別れの挨拶もそこそこにパタンと扉が閉じられ、エレノアは1人大人しく席に座る。
するとゴウン...と音を立てて身体の浮遊感と共に部屋が降下していく。
どうやらこの部屋自体がエレベーターのようだ。
(この先にハンター受験者...いや、歴戦の猛者達が待ち構えているのか。合格できるか不安だなぁ。家族に黙って来た手前、不合格にはなりたくないな。特に絶対シャルにバカにされそうだし。それはそれでなんか腹立つし。)
チーンと音が鳴りエレベーターが止まる。
同時に重い扉が開くと一気にみなの視線がエレノアへと注がれる。
ピリピリとした空気に圧倒されながらエレベーターから出ると小さなお豆さんが近づいてきた。
「受験者ですね。はい。どうぞ。番号札をお取りください。」
小さなお豆さんから渡された受験者番号には【406】と記載されていた。
「必ず胸に着け、紛失されませんようにお願いします。」
「あ、はい。ありがとう!」
早速胸につけると手持ち無沙汰で何をしたらいいか迷いながら人混みに視線を向けると緑の服に釣竿を持った少年が声を掛けてきた。
「君、1人?」
「うん。ボクはエレノア。みんなからはエレンって呼ばれてる。君は?」
「俺はゴン!よろしく!」
「よろしく。ゴン!」
「その帽子素敵だね!」
「ありがとう!家族に貰ったんだ!君のその釣竿も素敵だね!」
「ありがとう!もし良かったらだけど1人なら俺たちと一緒に居ない?女の子ひとりじゃ寂しいでしょ?」
「え!いいの?」
それはありがたい申し出だ。むしろ一人でいるよりずっと心強い!断る理由はないな。
というか、そういう気遣いできるのイケメンか?イケメンなのか?その見た目で。絶対惚れる人が出てくるぞ!これが彼の才能なのか。念を身につけるならウボォーと同じ強化系だろうなと思う。