第8章 優しい休日
駅前の大きなゲーセンの前。
色とりどりのライトが瞬いて、店内からはポップなBGMとゲーム音が混ざって聞こえてくる。
『わ、すごい……ここ、めっちゃ広い……』
「だろ!?ウチらのたまり場っつーか、B組打ち上げの第二会場よ!」
拳藤ちゃんが得意げに言って、私の腕を軽く引っ張る。
「ほら、チュロス買うって言ってたろ〜!」
「いやいや、まだ店内入って数秒なんですけど!?チュロス脳すぎでしょ!」
「そっちは男子で買ってきてくれていーから♡ あたしらプリクラ撮ってくるから!」
「え!?えぇ!?!?今!?早っ!!」
ぐいぐいと引っ張られながら、気づけばプリクラ機の前。
拳藤ちゃんと回原くん(なぜかついてきた)と、私の三人で、すでに機械に吸い込まれるように入っていく。
『えっ、ちょ、まって心の準備が……!』
「大丈夫大丈夫!テンションで乗りきろ!!」
回原くんが「俺、男だけど!?ちょ!?」とジタバタしながらポーズ取らされてるのが面白すぎて、思わず吹き出した。
『あはは……ほんとにB組って、明るいなぁ……』
何枚もパシャパシャと撮られていくうちに、
だんだんと緊張もとけて、私の顔も自然と笑顔になっていた。
◇ ◇ ◇
「よし!次はエアホッケー勝負だぁーーーッ!!」
拳藤ちゃんの宣言で、今度はゲーセン奥のゲームコーナーへ。
鉄哲くんとタッグを組んだ拳藤ペア vs 私と物間くんチームで、ガチの勝負に。
「……星野、ここは作戦通り、俺があえて負けることで“印象を残す”戦法で……」
『え!?だめだめだめ!本気でやろうよ!』
「ですよね〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
カッ!!と勢いよく放たれたパックを、物間くんが盛大に空振りするたび、
店内に響くほどの爆笑が起きた。
『……っはははは!!だめだってばもう〜!!』
「ひっでぇ!チームなのに見捨ててる〜〜!」
汗だくになって笑って、はしゃいで、
気づけばみんな、私を「想花!」って呼んでくれていた。