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【ヒロアカ】re:Hero

第3章 ヒーローの初試練


グラウンドのライン上に並ぶ生徒たちの姿が、ひとつの波のように見えた。
名前がひとりずつ呼ばれて、ペアで走り出す。胸が高鳴る。

「よーい…スタート!」

風を切る音が鮮やかに響き、個性を駆使したスピード勝負が始まった。
爆豪の爆破ダッシュには歓声が上がり、飯田のエンジン音が迫力満点に響く。
周囲は熱気に包まれていた。

そして、ついに私の名前が呼ばれた。

「星野想花、走者に入れ」

『はーい!』

軽やかに手を挙げて、スタートラインへと歩み寄る。
女子たちの「がんばれ〜!」の声に、胸がじんわりと温かくなる。
男子のこっそり送られる視線にも、少しだけ心が揺れた。

相手は切島鋭児郎。
彼のパワフルな笑顔に、私は負けられないと心で誓う。

「よろしくな!手加減しねーからな!」

『ふふっ、こっちこそ!全力でいくよ!』

緊張と期待が交差する中、合図が鳴った。

「位置について——よーい……スタート!」

パンッ!

空気を切り裂く音と共に、私は一気に駆け出す。
風のように軽やかで、無駄のないフォーム。
足音さえ聞こえない、まるで舞うような走りだった。

「なっ……は、速っ……!」

計測機の数字が瞬時に表示され、周囲がざわめく。

「3.93秒」

「え!?女子でこの記録!?ヤバすぎじゃね!?」
「マジで“身体能力強化”だけ!?他に何か隠してるんじゃ……」

私は息も乱れず、笑顔で答えた。

『えっ、えへへ……たぶん、得意なだけ!かな?』

でも、その姿を見ている誰もが、私の中にある何か特別なものを感じている。

少し離れた場所で、腕を組みながら相澤先生が静かに目を細めていた。

「……なるほどな。確かに“強化系”に見えるが――あの動きはただの筋力じゃない。さて……どこまで隠せるか、だな」
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