第17章 「花は蒼に濡れる**」
そして――
唇がそっと、耳にやわらかく触れた。
ふいに触れたその熱に、全身がびくりと震える。
そのまま柔らかな唇が耳たぶをそっと挟み、
ゆっくりと、じっくりと舌先がそこを撫でてくる。
「……っ、あ、……せん、せ……っ」
舌先がそこをかすめるたび、微細な電流のような感覚が身体に流れ込む。
堪えきれず、先生の腕にぎゅっとしがみついた。
耳たぶを甘く噛んでは、また唇で挟み、舌でなぞる。
優しく、でも逃がさないように何度も。
「……ん、ぅ……っ」
耳の奥がじんじんと熱くなっていく。
それに連動するように、下腹のあたりまでじわじわと熱が降りてきた。
(だめ、これ……頭、ふわふわする……っ)
唇を塞ぎたくなるほどの声が、喉の奥でせり上がる。
でも、それを察したかのように――
「……声、我慢しちゃダメだよ」
耳元で、先生がそう囁く。
その吐息ごと、身体の奥まで侵されていくようだった。
唇が耳を離れたと思った瞬間、すぐに首筋へと落ちてきた。
首にかかった髪をそっと払い寄せ、唇が首筋へと下りてくる。
「……ん、っ……」
首のうしろをなぞるような吐息が、もうすでに汗ばむ肌の上を這っていく。
唇が何度も何度も柔らかく吸い付き、熱を移すように押し当てられる。
そのたびに息が漏れ、体の奥がきゅうっと締めつけられていく。
「……ぁ……っ」
自分の声が思ったより甘くて、恥ずかしくなる。
止めたくても止まらなくて、息のリズムが乱れていく。
(……首、くすぐったい……)
でも、そんな戸惑いなんておかまいなしに、唇はじわじわともっと下へと降りてきた。
喉元をなぞり、鎖骨へと辿り着くと――
「ここ、いつも綺麗だなって思ってた」
先生の唇が鎖骨のくぼみにそっと触れる。