第10章 副隊長、母に会ってください
急がないとお昼ご飯が遅くなってしまうので、すぐに髪を整えて鞄の中に入っているメイク道具で軽く化粧をし玄関に行くと、彼に手を握られた。
「ほわぁ…すっぴんもええけど、化粧してるんもやばいわ…好きや。」
いや、あなたこそ、その髪型はなんですか…。
いつもそのまんまなのにワックスをつけて整えてるから、かっこよくて堪らない。
どこに行くのかわからないが、大人しくついて行っているとカラオケに辿り着いた。
「凉が歌ってるん聞きたいな思て。飯も食えるやん?夜いろいろ食うやろから、軽く食えるし。」
まさかのカラオケには驚いた。
宗四郎のことだから、おしゃれなところ行くのかと思ってた。
いや、カラオケがおしゃれじゃないとかそういうわけではないけど…。
受付を終わらせた彼がこっちやと手を引いて歩き出す。
「え…私が知ってるカラオケじゃないんですけど…。」
「VIPルーム使うたことないん?」
受付や廊下等も私がいつも行くカラオケよりも高級感があった。
そこのVIPルームとは…私の歌声を聞く為にそんなお金使わないで…。
そんな期待には添えないから…。
夜も結構いいお値段の完全個室の居酒屋の予約を取ってくれたようだ。
ただ、私たちの家に近いをところに予約してしまったことを母に伝えてから気付き、電話で謝っていた。