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anxiety

第1章 1



──22:14

あと45分後には会社を出ないと、終電に間に合わなくなる。
デスクの上に置いてある時計を見て時間を確認してから、私は溜め息をついた。
もやもやする思考を頭を左右に振ることで止めて、仕事のことだけを考えてモニターに向かう。
使い慣れた自分のパソコンだから、サクサク入力が進む。
──でも、頭の片隅ではもやもやがうごめいているのが分かる。

(考えない…考えちゃいけない…)

必死にもやもやを抑え込んで、私はキーボードを叩き続けた。


──22:48

違反ギリギリのスピードで、俺は愛車を走らせる。
──妙な不安感が沸き上がってきとるんや。

『最近、滝本は家に帰るのが0時過ぎになってるみたいだよ』

彩夏からの電話を切った西條が、ポツリと言った言葉が気にかかる。
彩夏は俺達とは違って、朝から夕方までの仕事のハズや。
俺達は昼から深夜、もしくは明け方…とか、そんな不規則な仕事やから別に大したことはないんやけど、彩夏はちゃうし。
働きすぎやん。

──大丈夫やろか…。
無理、しとるんちゃうか…。

もし……、仕事に疲れて……俺達のマネージャーを辞めたい、と言ったら……俺達は…俺は…どうすればええんやろか…。
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