第33章 現れた刻印
そう答えれば理世は座り、煙草を咥える悟浄の腰に巻き付いていく。
「…私がキス、したんだよね」
「あぁ。つか、その理由が売り言葉に買い言葉みたいによ?」
「ん、助けたお礼はベッドの上がいいって言われたっけ…」
「軽口聞いたもんだ、俺もよ」
「それに乗った私もどうかと思う…」
「だよな…」
くすくすと笑い合う二人。
「でも、未だに理世の記憶が途中で入れ替わったみたいに言われた時にはビビったぜ」
「…・・?」
「理世?」
「いつから、一緒なんだっけ…」
「ほら、なんて言ってたっけか、そうそう…社畜?」
「…何…社畜って…」
一瞬不安そうな顔を見せた理世。
「…いんや、なんでもねーよ」
「…悟浄と、みんなと会って、私が悟浄に助けられて…キスして…初めて抱かれて…そのあとの事は覚えてるよ?」
「ならいい」
「…ッッ」
「心配に思う事はねぇよ。」
そういわれ、きゅっと巻き付いていく理世の体を抱き寄せて悟浄は煙草をもみ消せばもう一度…と言わんばかりに覆いかぶさり、再度腕に抱くのだった。
「悟浄…ぉ」
「俺の事だけ感じててくれたらいい」
「…ッッ」
「心配すんな。俺はいるからよ。」
月の光の元で、部屋の明かりも薄暗いままに静かな部屋にベッドの軋みがやけに響く夜だった。
***
翌日、買い出しに向かうべく、八戒と理世は一緒に街に出ていった。
「…ねぇ、八戒?」
「なんでしょうか?」
「…聞きたいことがあって…」
「はい?」
「悟浄のあの模様…大きくなればなるほどマズいの?」
「そうですね…僕の場合はこれを取れば体中に葉の模様が浮かんできます。ただ、悟空はそういったのではなく、本当に…なんというか…髪や爪も伸びて…三蔵以外は止められません」
「…そっか…」
そう話しながらもうつ向いていた。