第32章 迷いと道
「…ッッ」
「はぁーー」
どれくらい走っただろうか。突然八戒がブレーキを踏み込んで止まったかと思えば一行誰しもが大きなため息を吐いた。
「…どうかした?何もないけど…」
「まぁった邪魔者が来た」
「じゃま…?」
妖怪?と身構えるものの、どこからも音沙汰がこない。
「…悟空…」
「おう!!」
三蔵のひと言で悟空がしゅっとジープの上から飛び降りていく。
「え、何…」
「お前はここに居ろ」
「お優しい事で」
「そんなこと言ってる暇はねぇ見てぇだが?」
そういわれれば、悟浄と八戒の顔つきもフッと険しくなる。そんな中でヒュォ…っと風が吹けば少し離れた所に人影が三人分…いや、悟空と同じくらいの子も含めれば四人分の影が現れた。
「…これはこれは…今日は皆様ご一緒で」
「大所帯で来やがって…」
「人数同じなんだからいい事じゃね?」
「呼んでもねぇよ」
ぶつぶつと話しながら三蔵までも下りていく。
「…え、何…」
しかし何も言わないままに四人はジャリ…っと相手に向かっていく。
「…よぉぉ!!!ハゲ三蔵!!」
「うるせぇよ」
「これは…お久しぶりですね…」
「こちらこそ、お元気そうで何より…」
「相変わらずだな、独角…」
「お前もな、悟浄」
「…三蔵一行、その経文…今日こそはもらい受ける…!!」
そうしてみている間に八人が入り乱れる。そんな光景を初めて見た理世は本能的に木の陰に隠れていく。
「…何を守ってやがる」
「うるせぇよ、独角…お前には関係ねぇ…!」
そう。理世から少し離れた所で悟浄は守りながらも戦っていた。