第20章 気付いた恋心
♢ Side 悟浄 ♢
ちょうどいい時期だったかもしれねぇ…これ以上一緒に居て…これ以上セフレでいれば恐らく俺の気持ちは理世にばれかねなかったから…
好きだとか…それこそ愛だの恋だのに溺れる気はねぇなんて言った手前、今更どの面下げて好きだなんて言えるんだっつぅの。
今夜も一緒に居られると思ってた。そう、あの時までは…
理世が三蔵の部屋に入っていく。あの仏頂面が、人に興味なんざねぇ奴が…すんなりと部屋に入れてて・・・それから少しの間多分出てこなかったんだろうな…
からの、俺と一緒の部屋に戻るなり『終わりにしよう』って…三蔵とぜってぇ何かあったろ、って思うだろ。今度からは俺が三蔵の立場になんのかねぇ…
『こいつらそういう関係か…』
なんてな…にしても・・
「あーぁあ、消えかけてら…」
窓に映る左の首筋についていたはずの理世の痕が消えかけてた。それもそうか…ずっとここ一週間くらい抱いてねぇし…となれば、おそらく…
「俺の付けたのも消えかけてんだろうな」
ハハ…っと笑うしかねぇ。あの体を、あの声を…理世のすべてが…今度は三蔵が味わうのか…
「…いいような、悪いような…・・いや、悪りぃだろ…んなの」
だからって理世がそれを選んで、三蔵が受け入れれば何も問題はねぇ。そう思ってるはずなのに…
愛とか…んなもの甘ったるいものはいらねぇって言い聞かせてたのはいつからだろう…
他の女にキスしなくなって…
他の女に痕付けなくなって…つけられたくなくて…
そんな風になってたのは…一体いつからだ…
「もう…わけわかんねぇよ…」
もう戻れねぇのは解ってんのに…月明りの元、俺はどこに行くでもなく、ただ広場にあるベンチに座って時間が過ぎるのを待つのみだった。