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ちょっと女史〜!

第3章 どっちかといえば、アーモンドアイだったわ


 「ふむ、我ながら中々にいい出来映えだ」
 足を踏入れたのは、オリジナルカップ麺が作れる店だ。腹いせにくっそ不味い物作ろうかとも思ったけど最終的に自分が処理する事になるので、辛うじて自分が食べれるものを作った。捨てるのは流石に勿体ない。
 この店、それだけではなく、ご当地インスタントも豊富にある上、頼めばお店で調理して出してくれる。リピート確定だ。スタッフの非常食用といくつか気に入った物を自分用にまとめ買いした。
 自分用は食われない様に隠す場所を考えねば、と、思いつつ町を練り歩く。平日の昼だと言うのに人が多い。観光客も沢山だ。回りを見ながら目的地に向かう。が、横目にそれを見つけてしまい立ち止まり、花に誘われる虫のごとく、そちらに向かった。

 鼻歌混じりに街を歩く。思わぬところで運命的な出会いをし、普段は決して手を出さない事に手を出し、招き入れたのはピンっ!と立った耳と、長い尻尾の可愛いあの子。 
 多分向こう一年位運を使ったと思うが後悔はない。
予定時間を大分過ぎてしまった。急がねば、と足早に歩くが、背後から絹を裂くようなとは、お世辞にも言えない。野太い男性の悲鳴。振り返れば背後を気にしながら走る不審な男。
普段ならば、無視して、その道のプロに頼むが、ラッキーな事に女史は機嫌が良かった。体をほぐし助走をつけ、地を蹴り、不審な男の無防備な顔面向かって思い切り、持ってたビニール袋と自分の足を鈍器代わりに振り上げた。
 
 糸師冴はすこぶる不機嫌だった、何故なら、スポンサーの依頼だか何だか知らないがサッカーに関係ない事の、しかも、日本での仕事をさせられたからだ。取材の際も会議の時も普段の二割増し程、態度も悪かった。
 やる事終わったらあとは帰るだけの筈なのに、何を気狂いたのか、マネージャーがお土産と称して、日本限定の菓子やら沢山爆買いしている。見た目は外国人観光客だ。しかも、口調が独特なので、知り合いと思われたくなくて距離を置いてたら、そのヘボマネージャー、あろうことかひったくりに遭って、女みたいな悲鳴を上げた。

 急いで追いかけるマネージャーにため息溢しながら後をつける。

 追いつくと、件のひったくりは女に締め上げられていた。
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