第8章 番外編・拝啓、サンドラお嬢様
「お前は……欲しい物はないのか?」
「……御座いません」
ある日―――今日は旦那様が早く帰っていらして一緒にお夕飯を頂けて……この後はぐふふっ♡とルンルン気分だった私に彼が言う。
「そろそろお前も家に慣れただろうし夜会に連れて行きたいのだ。ドレスとか宝石とか買わないのか」
「もう沢山あるじゃございませんの」
クローゼットには私用のドレスがうなる程揃えてあった。
どれも私にシンデレラフィットで旦那様の愛に感涙でむせんだものだ。
「夜会には新しいドレスを買いなさい」
何だか焦った様に旦那様が言う。
そうか―――お嬢様も言っていたな。令嬢たる者、常に流行に敏感でないといけないとかなんとか。
はあ、面倒くさ。
「では次の旦那様の休みにお買い物に参りましょ」
言うと旦那様は目をかっぴろげる。
そんな顔もかあいい♡
「一人で行けるだろう?」
旦那様の言葉にすぐ返す。
「旦那様が私に似合う服を選んでくださいませんと!……そうだわ、わたくしお揃いのアクセサリーなんか買いたいなあって思っておりましたのよ!ね?旦那様も一緒に参りましょ?」
『駄目ですか?』
手を組んで上目遣いに言ってみる。
私の美貌ようなれ。
「お前がそう言うなら……」
旦那様はまだ何かブツブツ言いながら私の作った豆のスープを飲みだした。
―――私のお願いが断れない旦那様……とってもとーーーっても可愛いわ♡