第14章 塞ぎ込む悪役令嬢(天翔る悪役令嬢前日譚)
「疲れたなあ」
サンドウィッチを齧りながらユーリウス様が言う。
私達はこの半年、ほぼオフの無い生活をしてきた。
そうなるとこうやって自由時間ができても何をして良いのか分からない。
「フレーリン侯爵令嬢とはどうですの?」
取り敢えず知っている情報から探る様に話してみる。
「それを言うならエレーン子爵令嬢もウッデンバリ卿とどうなんだ?」
聞かれて、互いに顔を見合せて苦笑いをした。
―――同じなのだろう。
「グスタフ様は会っても何もおっしゃらず、ため息をついてばかりで……こんな所を見られたら更に誤解されてしまいますわよね」
涙は出ない。『涙は女の美徳』お母様にそう言われて育って泣きたい時には泣いていた私はもういない。
涙は暗器。使い所を考えて使う武器だ。
私は別の意味で『泣きたい時に泣ける』様になった。
何だったかしら、重曹を舐める天才子役ってなもんよ。
「クリスティもだよ。顔を合わせても素っ気なくてさ。オレがどれだけクリスティの事を考えているか……」
サンドウィッチを食べ終わったユーリウス様にお茶を渡す。
私達はお茶を飲み、はぁ~~~~~っと重くため息をつく。