第14章 塞ぎ込む悪役令嬢(天翔る悪役令嬢前日譚)
―――その日、私達は、郊外にある小さな公園で待ち合わせをしていた。
『私達』とは、私、スティナ・エレーンとユーリウス・ハネル様。
みんなは知らないけれど、私達は兵器『リヴァルチャー』のパイロット。シュバリエとフィアンセ。
待ち合わせたのは、私達の今後の事―――というか。
―――リヴァルチャーにはフィアンセの使う、『感情回路』という物がある。
二人の重ねた思い出の記憶を力にエネルギーを得たりシールドを張ったり出来る物だ。
それをフィアンセは予め二つ用意した。
感情回路は三個。
最後の一つは二人で思い出を作って決めなさい、と周りに言い含められ今日に至る。説明終わり。
荒廃した地区にある遊ぶ童も見当たらない公園だ。
まあ、だからここを選んだのだけれど。
朽ちかけたベンチに二人で座った。
「お弁当作ってきましたの」
どれ位話すか分からなかったから、お茶とちょっとしたお菓子を焼いて、サンドウィッチを作ってきた。
「ありがとう。いただこうか」
飾り紙で包んだサンドウィッチを差し出せばユーリウス様は受け取る。