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ロドスの日常[方舟]

第25章 いつメンにグレイがやって来た!


「そうですね。あちらにいるジェシカも、性格はとても謙虚ですが、実力はかなり高いです」
 荷物の点検をしてくれているジェシカの方を紹介すると、彼女がこちらの目線に気がついた。
「あ、あの、今回の任務からお一緒するグレイさんですか? あ、足を引っ張らないように頑張りますね……」
 とジェシカは相変わらず謙虚な姿勢だった。
「グレイこそ、足を引っ張らないように頑張ります、ジェシカさん!」
 今回の任務内容もそこそこ難易度が高い。そこにグレイが来たということは彼も実力は高いのだろうが、謙虚さもきっと大事だと私は思った。
「そちらにいるのはグレイさんですか?」とやって来たのはフワフワの……スズランだった。「一緒に高台でお仕事をするんですよね! 頑張りますね!」
「はい、よろしくお願いします!」
 スズランはこの戦隊の中では若い方だった。自分と同じくらいのメンバーが加入したことで、スズランの成長も期待されることだろう。
「こちらはスズランです。彼女の作るスープはとても美味なのですよ」
 と私が紹介すると、スズランはハッとした。
「あ、自己紹介がまだでしたね! スズランと申します。よろしくお願いします」
 そう言ってスズランが頭を下げると、彼女のよく目立つ複数の尻尾がよりよく見えた。グレイはつられるように頭を下げた。
「よろしくお願いします!」
 と頭を下げ合う二人を横目に、私はもう一人の戦隊メンバーを探した。彼は群れを避けるように遠巻きな位置に座って待機をしている。
「彼はアレーンです」
「よろしくお願いします、アレーンさん! グレイです!」
 私が紹介すると、グレイが律儀に会釈をしに行く。だが対するアレーンはこちらに目配せをしただけだ。
「どーも」
 ただそれだけ言葉を発して。
 私はそんな彼から少し距離を離れ、アレーンに対する注意をグレイにも伝えた。
「アレーンの周囲は空気すらも毒に変える可能性がありますので、接近の際はお気をつけて下さい」
 アレーンの周りにはいつも甘い香りが漂っていた。
「そうなんですね、分かりました」グレイは首を縦に振る。「それにしても、皆さん毒を使ったり力持ちだったり、すごいですね〜」
 そこにポトリと足元に何かが落ちてきた。私が素早く見上げると、天井の梁に誰かが座っていたのである。
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