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ハツコイソウ【ゴーストハント/滝川法生】

第2章 人形の家


礼美ちゃんは不安そうにしていた。
ミニーが怖いのだろう……そう思いながら、安心させるように頭を撫でてあげた。


「もし、色々終わったらまた遊ぼうね」

「……約束だからね?」

「うん、約束」


あたしは礼美ちゃんと指切りをした。
その様子を見ていたナルは真砂子へと視線を移す。


「原さん、どうですか?」

「……護符が役にたってるようですわ。霊たちは気づいていません」


そうして、典子さんと礼美ちゃんは綾子達と共にタクシーでホテルへと向かった。
彼女たちを見送ったあと、あたし達はベースへと戻っていた。


「さて、とりかかるか!」

「頑張ってね、ぼーさん」


不安げに呟くと、ぼーさんは相変わらずの明るい笑みを見せてくれた。


「安心しなさいって、次こそはぼーさん活躍するからよ」


そして、ぼーさんは袈裟姿になると礼美ちゃんの部屋に向かった。
あたしと麻衣、ナルとリンさんはベースでその様子を見守ることに。


「ぼーさん、準備は?」

「いつでもおっけー!」

「麻衣、結衣。注意して見ていろ」

「お、おっけー!」

「おう!」


生唾を飲みながら、あたしと麻衣はモニターを見つめる。


「ーーナウマク サンマンダ バザラダン。センダ マカロシャダ ソワタヤ ウンタラタ カン マン」


ぼーさんと祈祷の言葉が耳に聞こえてくる。


「……温度が下がってきました。とくにベッドのまわり……もう二度はさがりました」

「マイクは」

「いまのところ異常はありません……いえ、妙に雑音がすくないですね。ラップ音が始まりました、ノック音です」


リンさんとナルの会話を聞きながら、ほかのモニターを見ている時だった。
麻衣が悲鳴に近い声で叫んだ。


「……ナル、居間っ!!」

「……なに、これ……」


居間からは何か白いような透明のようなものが、ユラユラと揺れていた。
まるで床から溢れ出ているかのようだ。


「なんで……居間なの……」


麻衣の呟きを聞きながら、あたしは居間から目が離せなかった。
何かが出てこようと、いや……出てきているのだから。


「リン、居間の温度は」

「現在マイナス二度です」

「マイナス……!?ぼーさん、その部屋じゃない!どうやら事の中心は居間だ!」
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