第8章 呪いの家
ジョンは申し訳なさそうに呟く。
そんな彼を見てから法生は真砂子へと視線を向けた。
「真砂子。その霊はどういうやつだがわかるか?」
「……わかりませんわ。ただ──ナルに憑いてるあの霊と同じ感じがします。強いていえば空洞ですかしら。恨みもなければ怨念も感じられませんの」
「そうか……結衣と麻衣は?」
「「あたし!?」」
名を呼ばれた双子は揃って声を上げる。
ここで何故自分たちが呼ばれたのか分からないでいて驚いているが、それを無視して法生は聞いた。
「なんか感じないか。なんでもいい。夢に出てきたことで引っかかることとか」
「えー……えーと……」
「あたしは洞窟の夢しか見てないからあれだけど、麻衣ならあたしが見てない夢を見てるよ」
「結衣!?」
言いづらい夢を言えというのか。
麻衣はそう言いだけに姉を見たが、彼女は『言ってみなよ』と言いたげに見てきているだけ。
『かならず末世まで呪ってやる』
双子の中にあの言葉が浮かぶ。
麻衣から話を聞いた夢の話では、そう言葉が聞こえたという。
それを言えばいいんじゃないかと結衣は麻衣に耳打ちした。
「『末世まで呪う』あの話をしたら?」
「ああ……うん。真砂子の意見と対立しちゃうんだけど……恨みをのんで死んだ人がいると思うの。酷い裏切られ方をした人なんだと思う。敵に包囲されて殺されちゃって。たぶん、この辺りで死んだ人……少なくとも土地に関係あるんじゃないかな」
麻衣の言葉を聞いて真砂子は顔を顰める。
「そんな霊でしたら、あたくにもわかるはずですわ」
「あ、たんなる夢かもしんないしさ」
「夢ですわ」
結衣は二人のやり取りに苦笑を浮かべる。
真砂子は霊視ができる人間であり、恨みがないと言っているのに霊視が出来ずに夢を見ただけの麻衣は恨みがあると言っているのだ。
真砂子はあまりいい気分ではないだろうと結衣は真砂子の気持ちを考えた。
法生はというと、麻衣の話を聞いてから考え込んでいた。
そして彰文を呼んでから麻衣の話を聞かせた。
「どうです。なんか心当たりは?」
「いえ……そういう話を聞いたことはありません」