第1章 悪霊がいっぱい!?
「御心の天なるごとく地にもなさしめたまえ」
不思議と祈祷の言葉を言う時、ジョンは変ななまりがない。
何故だろうと思いながらも祈祷の言葉を聞き続けていれば、ジョンは聖書を開いた。
「初めに言があった。言は神と共にあった。言は神であった」
不意にジョンが上を向いた。
「……どうしたんだろう」
「音あげてみろ」
「えーと、これかな」
ぼーさんに言われたとおり、機械のツマミを捻ってみれば音量が上がった。
「ーーの言は初めに神と共にあった。万物は神によって成った。成ったもので言によらずに成ったものはなに一つなかった」
ジョンの祈祷の言葉の間に、何か叩くような裂けるような音が聞こえてくる。
一回だけじゃなく、何度も何度も言葉の間にその音が聞こえてきた。
「……ラップ音じゃない?」
その音は徐々に強くなっている。
流石のジョンもその音をかなり気にしながら言葉を続けている。
「言の内に命があった。命は人間に照らす光であった」
ジョンは天井のほうばかりを気にしている。
「……まさか」
あたしの言葉を合図にしたかのように、麻衣が突然教室を出ていってしまう。
「麻衣!?」
「おい嬢ちゃん!?」
慌ててあたしも追いかけて、ジョンがいる二階へと走って向かう。
そして教室の扉を開けると、麻衣が中にいるジョンに叫んだ。
「ジョン!危ないよ、出て!」
「ジョン、そこから出て!」
「結衣さん、麻衣さん」
「早く!天井が落ち……」
その時、天井の一部が上から降ってくるように落ちてきた。
「ジョン!」
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ーthird person singularー
翌日のこと。
結衣と麻衣は日曜ではあるが、今日も旧校舎の調査の為にと学校に訪れていた。
だが二人ともほとんど寝不足状態。
何せ昨日、教室の天井が落ちてきたことの驚きでなかなか眠ることが出来なかったから。
『……なんてこった』
『結衣さんと麻衣さんが声をかけてくれへんかったら、危なかったです』
ジョンは幸い怪我をすることはなかった。
2人が声をかけたとの同時に教室から出ていたから。
『……今夜は引いた方がいいかもしれないな』