第1章 悪霊がいっぱい!?
確かにぼーさんの言う通りかもしれない。
強い霊が、機材が正常だと反応するぐらいの力を持っているのかもしれない。
「ぼーさんの意見は?」
「地縛霊」
「君は、ジョン?」
「わかりまへんです。そやけど危険ゆうのには賛成です」
「そういうおまえさんは?」
「……今のところは意見を保留する。少し調査の角度を変えてみようと思う。結衣、麻衣。僕は車に戻る、機材を見ていろ。このマイクは車に通じてるから変化があったら呼んでくれ」
「はーい」
「へーい」
ナルはゆったりとした足取りで教室を出ていった。
そんな彼の姿を見送っていれば、ぼーさんは小さく息を吐く。
「どうなのかねえ、あのボウヤ。たいそうな機材持ち込んでハデにやらかしてるが本当に有能なのかよ。その辺どう思うよ、結衣ちゃんと麻衣ちゃんや」
「あたし達に聞くー?」
「あたし達もわかんないよ」
麻衣とあたしは肩をすくめた。
「……ほんならボクは」
「おっ、いよいよエクソシストのおでましか?」
「なにか手伝おうか?」
「よろしいです。それより祈祷を始めたら機材に注意せえやです。何か反応があるかもしれへんです」
「うん……」
ジョンは一度準備をするということで教室を出ていった。
そしてあたしと麻衣は画面の前に中腰になって、ジョンが二階のあの真砂子が落ちた教室に来るのを待った。
それにしても不気味である。
ミチルの先輩が人影を見たり、イスが勝手に動いたり、黒板やガラスが割れたり、真砂子が落ちたりと。
(本当に霊はいないのかな……?こんなことばかり起きてるんだから、いるような気がするんだけどなぁ)
なんて思っていれば、何故か画面が白黒のザラザラしたものに変わっていた。
「あれ!?画面が!!」
「ナルッ!画面が白黒のザラザラになっちゃったよ!」
「暗くなったから暗視カメラに切り替わったんだ。様子は?」
そう聞かれたのと同時に黒い衣装を身にまとったジョンが現れた。
「ジョンがお祓いを始めるって……あ、来た」
ジョンは聖書らしい本と小さな小瓶を持っていた。
そして小瓶を揺らすと、中から水が飛び散る。
「天にまします我らの父よ、願わくは御名をあがめさせたまえ」
「なに?あの水」
「聖水だろ」