第1章 悪霊がいっぱい!?
「サーモ・グラフィーの映像違うかなです。黄色いところは温度が高くて、反対に青っぽいのは低いです」
ナルの代わりにすんなりとブラウンさんが説明してくれた。
どうやらブラウンさんはこういうのに詳しいらしい。
「ふんふん」
「なるほどねぇ」
「ありがと、ブラウンさんは親切ね」
「ほんと、どこかの誰かさんと違って親切だねぇ。ブラウンさんは」
「そんな……あ、ボクはジョンと呼んでおくれやす」
ジョンは顔を真っ赤にさせて照れていて、とても本当にとても可愛らしい。
「じゃあ、あしたちの事は結衣と麻衣って呼んでー。あたしが結衣ね」
「結衣さんと麻衣さんどすね」
のほほんとした雰囲気で話をしていた時。
「ナル!」
麻衣が一つのカメラ映像を見て声を上げる。
どうしたのだろうかと映像を見れば、昇降口の所に着物姿におかっぱ姿の女の子が立っていた。
だが直ぐに彼女は姿を消した。
「き、きえた……」
「い、今の……なに……?」
動揺していれば、入口から軋む音が聞こえた。
振り返ればそこにはあの少女が立っていて、あたしと麻衣は思わず悲鳴にならない声をあげそうになる。
「結衣さん、麻衣さん、ダイジョウブ。あれは幽霊やないです」
ジョンにそう言われて、よくよく見るとちゃんと足があるしちゃんとした人だった。
こんな旧校舎に現れたせいで幽霊と勘違いしてしまった事に、少しだけ反省する。
「……校長はよほど工事をしたいらしいですね。あなたまで引っ張り出すとは」
「……知り合いなの!?」
「いや、顔を知ってるだけだ。原真砂子。有名な霊媒師、口寄せがうまい。たぶん日本では一流」
「くちよせ?」
「くちよせって?」
「無知」
ナルの言葉に苛立ちを覚えた。
知らないだけなのに何故、こうも馬鹿にされたように言われなければならないのだろうかと。、
一言言ってやろうか。
そう思って拳を握ると、慌てたジョンがあたしと麻衣に説明をしてくれる。
「自分の口を使うて霊に話をさせるんですのやです。テレビでようやってますやろ。この方はよくテレビに出てはるんです」
「へぇ……テレビに」
なんて話していれば、原真砂子という少女が口を開いた。
「あなたは……?霊能者には見えませんけれど」