第1章 【弟】
たった一瞬で、勝手に写真アプリを開かれ、勝手に弟の写真を見せつけられた俺だけど、フワッフワ星人だから、泪に何か言っても仕方ないのだ。
「へーお前良い兄ちゃんだな!弟の、こんな満面の笑みの写真スマホに入ってるなんて...」
と、瞬は俺の肩を組んでくる。
だけど、俺はまたため息をついた。
「"浮気"防止だってよ。」
瞬は、予想通り、ポカンとした。
泪は、「綺麗な人なんだねぇ、弟さん」と微笑み、サラッサラの長い髪を楽しげに揺らした。
「"土日は、お兄ちゃんは僕としか一緒にいちゃいけません!"って...」
瞬は、若干助けを求めるように泪の方を見た。
そして俺は机につっぷす。
「かっ..カワイイ弟じゃんよぉ、なぁ?今時お兄ちゃん大好きっ子でさあ...」
俺はカバンの上に、もふっと拳を置く。
「可愛くねぇよっ!素直にだいすきだいすき毎日言われてこええわ俺はっ!」