第5章 嫉妬
疲れや汗を流す為に大浴場に来ると、すでにみんなも来ていた。
髪や身体を洗いお湯の中に入るとみんなに囲まれる。
思わず苦笑いを零した。
ただ期待を込めてじっと見つめられるので、付き合ってないよと苦笑しながら言葉を零す。
みんな、なんの期待をしているのだろうか。
絶対付き合ってるでしょ!とか色々と質問責めをくらったが、全て濁しニコニコ笑った。
「ただ...付き合ってはないけど、みんな彼には手を出さないで欲しいな。」
と、ニコッとしながら牽制した。
手を出せる程の相手でもないだろうけど。
みんなが静かになったので、逆上せる前にお風呂を出た。
いつもの私じゃなくて、みんな驚いたようだ。
だって、誰にも取られたくないんだからしょうがない。
髪を乾かしてから火照った身体を冷やそうと屋上に来た。
風が頬を撫でる気持ち良さを堪能していると、キコルちゃんが来て話しかけられる。
「付き合ってないのは本当なんだろうけど、何かあるんじゃないの?」
さすがに彼女は色々勘づいているだろう。
未成年の彼女に話せないことを除いて全て話した。
全てと言っても、私の気持ちだけだが。
お互いの気持ちを知っていることは伏せて、私がただ彼に甘えていることだけ言うとふーんと不満気に返される。
さすがに彼が居ないとこで彼の気持ちを話すのはいけないだろう。
「でもなんで、美影が甘えることを副隊長は許してるのよ?」
「それはっ.........っ!?」
「こういうことや。」
キコルちゃんの後ろに人影が現れたと思ったら、私の後ろに回り、肩を抱かれた。
驚いて、あ、えっと言葉にならない声を漏らす。
キコルちゃんも驚いて目を見開いている。
「早う僕のとこ来てくれへんのか?」
甘えるように私の頭に頬を擦り付けてくる。
キコルちゃんの目の前で何をしてるんだか...。
キコルちゃんへの説明は副隊長に任せて、私は逃げるように荷物を置きに寮の部屋に戻った。