第16章 10号
いきなり宗四郎さんが何か思い出したように声を上げ、もう男怖くないん?と聞いてきたので、私も今思い出した。
そういえば、特に気にせずに過ごしていたなあ。
あの時は直後だったから怖かったのかな。
コクっと頷くと、いいのか悪いのか、なんか複雑やと笑った。
どうしてと聞き返せば、怖い方が他の男に近付かれんで済むやんと言う。
確かに…。
「そういや言い忘れとったけど、僕に跨った女は除隊にしたから。あと、慰労会の時に誘ってきた女は異動にした。」
「っ!……うん、ありがとう。」
ギュッと腕に抱きつくと柔らかいと呟いたので無視して、腰を曲げてその腕に絡みついた。
すると、手で目元を多い溜め息を吐いたので、彼の顔を見つめる。
「あかん……誘っとる?」
誘ってるというか、甘えていただけだが…。
彼の手を挟んでいる太腿をモミモミと揉まれる。
しないんでしょと言いながら、そのまま彼の腕を抱きしめてボーッとした。
少ししてから腕を離して起き上がり、彼の顔の横に手をついて覆い被さるようになり、唇を重ねる。
触れるだけのキスをして唇を離すと、どしたんと微笑んで頬を撫でてくれる。
パラパラと額にかかった髪を寄せて、額にもキスをした。
首筋にも吸いついて痕を残す。
「っ……もうそれ、誘っとるやぁん…。」
「誘ってないよ。ちゅーしてるだけ。」
もう一度、首筋に吸いついた。
唇を離し彼の目を見て微笑んで、また隣に寝っ転がった。
意地悪してくれたなぁと抱きついてきて、脇腹や脇の下を擽ってくる。
身体をクネクネとさせて笑っていると、彼も笑い出す。
もうやめてと腕をトントンするとすんなり手を離してくれた。