第15章 不信
腰に回した腕を離してもらい、彼の肩に頭を預ける。
好き、大好き、と頑張って抑えていたものが溢れてきてしまう。
「私も、宗四郎さんの全部、好きぃ…かっこいい…うぅ…。」
えー顔だけ?と笑いながら頭を撫でてくれる彼に、違うもんと甘えるように言って、グリグリと彼の服に涙を拭った。
「あー濡れてまうー!」
揶揄うように言って私ごと後ろに倒れて、私は彼の胸に顔を押し付け、彼の全てを感じられるようにその場でじっとする。
鼻水が垂れそうになってズズッと啜ると、鼻水はやめてやと笑いながら起き上がって、ティッシュを数枚取り私の鼻に押し付けてくる。
普段だったら絶対したくはないが、そのまま鼻水をかんだ。
彼は鼻水がついたティッシュを捨てまたティッシュを取ると、私の涙を拭いていく。
「もう泣かんでな?冷たいわ。」
私の涙で濡れた胸を触りながら笑っている。
彼の腰に跨ったまま彼の手を取り、指を絡めて握る。
どしたん?と優しく笑いながら手を引かれ、また彼の胸に倒れてしまった。
顔を上げ宗四郎さんの顔を見ながら痛いと呟くと、僕もその顎痛いわと笑う。
彼の胸筋にぶつかった鼻がじんじんする。
グリグリと顎を胸に押し付けた。
「はははっ、痛い言うてるやん、もう…。」
そんな強くはしていないが結構痛かったらしい。
謝ると視界が反転して、位置が逆転されてしまったようだ。
目を開けたままゆっくりと顔を近付けてくる。
目を薄く開け、唇が触れるのを待った。
「ええん?ちゅーしてまうよ?」
もう少しで触れそうになるとそう言われたので、頭を浮かせて自分からその唇に触れた。
ゆっくり頭を下ろすと彼もそれについてきて、そのまま唇を食むようにして吸われる。
唇が離れると、額や鼻、頬にちゅっちゅとキスをしてくる。
「可愛い…キスだけでそんな赤なって…。」
キスだけじゃない。
たぶん無意識だろうけど、硬くなったモノを私の股に押し付けてる。
最後に一瞬だけちゅっと口付けると上から退き、隣に横になった。
ゴロンとうつ伏せになって彼の顔を覗き込む。