第3章 辛苦
「いっ…!?」
突然膝を開かれると、そこに頭をねじ込み内腿を噛んでいく。
副隊長の主張した八重歯が柔らかいそこに食い込む。
何度か噛まれているうちに痛みで漏れていた声は甘いものに変わっていった。
下腹部が疼き、直接の刺激を欲していた。
副隊長はいくつもの歯型を太腿に残し満足したのか、最後に強く吸いちゅっとリップ音をたてて、唇を離した。
「僕の相手してる間はどこにも行かせへんで。」
副隊長以外の人にこういうことをするつもりはないし、こんな痕を付けられては誰にも見せれるはずもない。
あぁ、その為に痕を付けたのか。
少し考えてから言葉の意味を理解した。
副隊長は太腿の痕を撫でてから顔を上げ近付いてくる。
だんだんと迫る整った顔に息を呑む。
薄く開いた瞳が私を捕らえて離さない。
少しも動けず赤紫の瞳を見つめていると、鼻が付きそうな距離まで近付いていた。
「ええんか?ちゅーしてまうぞ。」
その言葉に驚き目を見開いたが、恐る恐る目を閉じてその感覚を待つ。
何時まで経っても何も触れる感触がしないので目を開けてみると、副隊長は椅子に座り直していて、肘掛けに肘を置き頭を抱えていた。
「なんで受け入れとるんや、抵抗せぇ。特別なもんちゃうんか?僕は好いとる奴にしかせぇへんぞ。」
その後にボソッとセックスはするけどと呟く。
それこそ、好きな人としかしたくないんですが…。
未だに頭を抱えて俯く彼を見て、胸の中で呟いた。
あなたが好きだから全て許してしまうんです……と。