第10章 第1部隊
「ちょおおおォォォい!!なんか亜白が倒したみたいな絵面になってるじゃないかァ!!」
屋上でキコルちゃんや鳴海隊長と話していると、記事を見ていた鳴海隊長が突然叫び出す。
「しかも美影!!お前も撮られてるぞ!?」
私が撮られることなんてあるものかと思いながらも、彼が指差す記事を見てみると、顔は写っていないが確かに私がいた。
第3部隊保科副隊長に恋人、という見出しで書かれていた。
公園で宗四郎さんに抱きしめられている時の写真だ。
彼の顔ははっきり写っているが、私の顔は彼の胸に埋もれていて見えていない。
まさか、撮られることなんてあるのか…。
確かに彼は有名だし人気もあるが…プライベートはやめてくれ…。
鳴海隊長に電話をかけろと言われるが、何故かけなければいけないのかわからない。
隊長命令だ、早くかけろと言われて渋々かける。
隊長命令乱用するのよくないと思うんですが…。
スピーカーにしろと言われたので溜め息をつきながらタップした。
なかなか出ない…忙しいのだろう。
もう諦めてくださいと呼び出しを切ろうとした時、コール音が途切れた。
「美影?どしたん?こないな時間に。もう寂しなってもうたか?可愛ええなあほんま…好きやで。」
や、やめてくれ…。
まさか鳴海隊長やキコルちゃんが聞いているとは思っていない彼は、甘い言葉を囁く。
声すらも普段とは違い、甘く優しい。
2人の顔を見ると、キコルちゃんは真っ赤になり、鳴海隊長は心底嫌そうな顔をしていた。
いや、自分でかけろって言ったくせに…。
私も顔を隠したくなったが、宗四郎さんに少し用があって…と返せば、好きって言ってくれないのかと言われる。
2人をチラッと見てから後ろを向き、スマホに唇を近付けて小さく呟いた。
聞こえへん、もっと、とスマホから聞こえるが無視して、隊長命令でかけていると伝える。
「嫌や、聞きたあらへん。君の口からその名前出てくるん、心底腹立つわぁ。」
「腐れオカッパァアアア!!」
突然叫び出した鳴海隊長に肩を震わせて見ると、私のスマホに向かって中指を立てている。
へし折ってやろうかと思ったが、やめてくださいと睨むと、すぐにその手を下ろす。